がん保険は必要か?FPとして中立的な立場から解説!
昨今、2人に1人はがんになる時代です。
詳細の不安に備えてがん保険に加入している方、加入を検討している方もおられると思います。
そこで、今回はがん保険の特徴、必要性などについてご紹介します。
保険商品の紹介などはなく、あくまでも中立的なFPの立場としての見解を述べさせて頂きます。
- がん保険の加入率は?みんな加入してるの?
- がん保険の特徴、医療保険との違いは?
- がん保険の種類は多種多様
- がん保険のデメリット
- 手厚い公的保障も考慮して加入を検討しましょう
- 結局、がん保険には加入すべきか?
がん保険の加入率は?みんな加入してるの?
公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査(平成28年度)によると、日本におけるがん保険の加入率は37.8%となっています。
http://www.jili.or.jp/research/report/chousa28th_1.html
ざっくり3人に1人が加入していることになります。
30~50代の方の平均を取ると43%ほどですので、働き盛りの方の加入率が比較的高い傾向にあるようです。
医療の進歩によって、がんは「治せる病気」となりましたが、それに伴い多額の治療費もかかるようになってきました。
それゆえ、がん保険を検討される方も増えているようです。
がん保険の特徴、医療保険との違いは?
がん保険の特徴、医療保険との違いについて具体的にご説明します。
診断給付金が受け取れる
保険商品によって大小の差はありますが、がんと診断されたときに一時金として100万円~200万円が支払われます。
がんと診断された場合、健康面・経済面・家族のことなど様々な不安が頭をよぎります。
そういった時に金銭面でのサポートが受けられることは非常に助かります。
入院給付金に日数制限がない
がんの場合は通常の病気よりも入院して治療にあたる期間が長いという事で、日数制限を設けていない商品がほとんどです。
(一般的な医療保険では入院給付金が支払われる日数に制限があります)
しかし、近年のがん治療は入院日数が短くなり、通院での治療が主流になりつつありますので、入院日数に制限がないというメリットは薄れつつあります。
そこで、入院を条件とせずに、通院給付金が受け取れる商品や、日数制限がなく通院給付金を受け取れる商品も登場しています。
がん先進医療給付金の特約がある
医療技術の進歩により、通常のがん治療とは異なる最先端医療技術を使って治療にあたるケースもあります。いわゆる先進医療です。
一回あたり数百万円かかると言われる重粒子線治療や陽子線治療など、多くの先進医療は健康保険が適用されません。
しかし、月々数百円程度で先進医療特約を付加しておけば、1,000~2,000万円を限度に給付金を受け取ることが可能です。
万が一、数百万円もの治療費が必要になった時を考えれば、費用対効果としては非常に大きい特約です。
ちなみに、先進医療特約は医療保険の特約として付加されていることもあります。
がん保険での先進医療特約はあくまでもがん治療のみにしか使えませんが、医療保険の先進医療特約であればがんを含むその他の病気の治療にも使えます。
特約の範囲が重なっている場合、数百円とはいえ保険料がもったいないので、より保障の幅が広い医療保険の特約に絞ることをおすすめします。
がん保険の種類は多種多様
保険各社が様々なタイプのがん保険を販売していますが、大きく分けると、終身タイプと定期タイプ、掛け捨てタイプと貯蓄型タイプという風に分かれます。
終身タイプ・定期タイプの特徴
それぞれのメリット・デメリットを表にまとめました。
どちらを選択するかは、保険に対するご自身の考え方、経済状況などを勘案してご検討されることをおすすめしますが、以下のような考え方も参考にしてみてください。
- 「保険料が値上がりするのは避けたい。一生涯に渡って保障を受けたい。」という方は終身タイプをおすすめします。
- 「医療の進歩により、新たながん治療が登場したら保障に組み込みたい。将来的に子育ても落ち着いて金銭的な余裕が出たら必要な保障だけに絞りたい。」という方は保障内容を見直せる定期タイプをおすすめします。
掛け捨てタイプ・貯蓄型タイプの特徴
実はがん保険には貯蓄型タイプが存在します。
掛け捨てはもったいないと思われる方はご参考にしてください。
こちらも同じくメリット・デメリットを表にまとめてみました。
こちらもご自身の保険に対する考えや経済状況に応じてご検討をされるべきですが、ご参考までに一般的な考えをご紹介しておきます。
- 「がん保険には加入したいが、ローンや教育費用などもあり経済的な余裕はない。」という方は掛け捨てタイプをおすすめします。
- 「掛け捨ての保険には極力入りたくない。家計に比較的余裕があり、保障と貯蓄の両方に備えたい。」という方には貯蓄型をおすすめします。
ただし、貯蓄型のがん保険は貯蓄機能を主とする保険ではありませんので、一般的な終身保険のような返戻率は望めません。
であれば、自らのペースで貯蓄をする、あるいは投資信託やNISAなどでご自身で運用をされるのも1つの案です。
がん保険のデメリット
がんになってしまった場合、手厚い保障が受けられるがん保険ですが、当然デメリットもあります。
がん以外の病気は対象外
がん保険はあくまでがんに特化した保険です。
がん以外の病気やケガで入院・手術を行ったとしても保障はされません。
そういった病気に備える場合は医療保険に加入しましょう。
実は給付条件が厳しい(2回目の診断給付金や上皮内新生物は条件付き給付)
100~200万円もの診断給付金が支払われるのですから、当然保険会社としても支払い条件はきっちり定めています。
一般的な条件ですと、
- 診断給付金を何回でも支払うとなっていても、前回の診断日から2年以上が経過していることが条件
- 上皮内新生物(いわゆるステージ0のごく初期の段階のがん)は給付の対象外
- 契約後、保険が開始されるまでに待機期間が90日ある(つまり、契約後90日以内にがんが見つかっても保障の対象外)
などです。
※実際の条件は保険商品によって異なりますのでよく確認しましょう。
手厚い公的保障も考慮して加入を検討しましょう
日本では病気治療において以下のような非常に手厚い公的保障が受けられます。
- 3割負担・・みなさんご存知、保険適用であれば3割負担で済む制度です。
- 高額療養費制度・・こちらも多くの方がご存知、治療費が数十~数百万円かかった場合でも多額の医療費が払い戻され、実質の自己負担は非常に少なく済む制度です。
- 傷病手当金・・健康保険の加入者が病気やケガで働けなくなった時に、給与の2/3を最大1年半受け取れる制度です。
もちろん、これらの保障で十分かというとそうではありません。
入院時のベッド代や食事代などは公的保障の対象外ですし、通院するには交通費もかかります。
また、家族の付き添いや看病が必要である場合、家族が仕事を減らすことで収入が減少することも考えられます。
こういったリスクに対して、不安がある方は保険加入を検討しましょう。一方、貯蓄で賄うことができるという方であれば保険加入は不要です。
結局、がん保険には加入すべきか?
加入を検討するにあたって、誰もが抱く疑問です。
しかし、これは将来死ぬ時まで分からない博打のようなものです。
この博打を保険会社の側から考えてみましょう。
「保険会社が負ける賭けをすると思いますか?」
答えはNoです。
統計的に見て、必ず保険会社が得をする仕組みになっています。そうでなければ保険会やは存続できません。
言い換えれば、この博打では大半の方は負け、一部の方だけが勝つという事です。
トータルでみればしっかり保険会社の手元に利益が残る仕組みになっています。
さらに言うと、みなさんの支払う保険料には、予定事業費率という形でその保険商品を取り扱うために必要な人件費・広告宣伝費などが折り込まれています。
月々の保険料はいざというときの保険金だけでなく、高給取りの保険営業マンの給料やCM費用にも使われているのです。
ここまで言うと、保険会社に保険料を支払うのがバカバカしいと思う方も出てくるのではないでしょうか。
しかしながら、保険は単に損得勘定だけで検討するものではありません。
保険を使うことがなければ、それは損をしたのではなく、健康でよかった・お守りとしての役目を果たしてくれた、という捉え方もできます。
とはいえ、お守りとしてあまりに高額の保険商品を契約するのはやめましょう。
保険営業マンに勧められるがままに保険に加入するのはただのカモです。
貯蓄や公的保障では対応できないリスクをカバーするのが保険です。必要性をしっかり見極めて保険加入を検討しましょう。