ひじきはガンを引き起こす危険な食べ物?
鉄分や食物繊維が豊富に含まれる「ひじき」。
私たち日本人の食卓にもよく出てきます。
しかし、2004年にイギリスの食品規格庁より「ひじきは発がんリスクがあるため食べるべきではない」との勧告を出しました。
その理由としては、「ひじきは無機ヒ素を多く含むため」でした。
日本ではそういったリスクはさほど気にされていないように見えますが、実際のところはどうなのでしょう?
そもそもヒ素とは?
名前は皆さんご存知だと思います。
ヒ素は農薬や殺鼠剤に使われる毒物です。
大別すると、有機ヒ素と無機ヒ素の2種類があり、無機ヒ素の方がより毒性が強いと言われています。
WHOによると、食事等からの長期に渡るヒ素の摂取はガンの原因となり得るとされています。
他にも心血管疾患、神経疾患等の発症とも関係しているようです。
ひじきに含まれるヒ素の危険性は?
WHOが定める無機ヒ素の耐用週間摂取量は15マイクロg/kg/週なので、体重60kgの人であれば一日あたり129マイクロgまでは摂取しても大丈夫ということになります。
平均的な日本人の食生活では、ひじきの一日あたりの平均摂取量は0.6g程度。
ひじきに含まれる無機ヒ素は22.7マイクロg/gですので、平均的な日本人は一日あたり13.6マイクロgの無機ヒ素を摂取していることになります。
つまり、平均的な食生活をしている限り、無機ヒ素の摂取基準をオーバーすることはありません。
逆に毎日6g以上のひじきを摂取していると無機ヒ素の摂取量が問題になる可能性があります。
ただ、この場合は無機ヒ素以前に食事の栄養バランスが良くありませんので見直しが必要です。
ちなみに厚労省によると、これまでにひじきに含まれる無機ヒ素が原因でヒ素中毒等の健康被害が起きたことはないそうです。
ヒ素を除去する調理方法
無機ヒ素は水溶性です。
つまり、水戻しや茹で戻しの工程の中である程度の無機ヒ素を除去することができます。
水戻しで50%、茹で戻しで80%程度減らすことができるようです。
しかし、ここで注意したいのは茹でた際の戻し汁をそのまま使わないことです。
戻し汁には無機ヒ素が溶け出していますので、無機ヒ素汁になっているためです。
以上のように、確かにひじきには有毒な無機ヒ素が含まれていますが、過度に食べ過ぎることさえなければ人体に有害な食べ物ではないと言えます。
むしろ、鉄分やカルシウムが豊富に含まれる食材ですので、おかずの一品として活用することをおすすめします。
ひじきに限らず、どの食材も食べ過ぎはよくありません。
すべての食材に一長一短があります。
メディア等では視聴者受けのよい偏った情報だけが報道されがちですが、そのような情報に惑わされず、自身にとって最適な食生活を考えましょう。