配偶者に先立たれたら。遺族年金はもらえる?
医学の進歩とともに人間の寿命も伸びています。
老後の生活のために若いうちから準備をすることが大事だと本ブログでもご紹介させて頂いております。
しかし、老後の生活を考える上では、配偶者のどちらかが先立った後のことも考えておいた方がよいでしょう。
また、あってはならないことですが、配偶者が不慮の事故や突然の病になる可能性もあります。
そんな時に遺族をサポートする「遺族年金」について、今回はご紹介します。
遺族年金の種類
遺族年金には2種類あります。
遺族基礎年金と遺族厚生年金です。
自営業の人は遺族基礎年金が受給でき、サラリーマンの人は遺族基礎年金+遺族厚生年金の双方が受給できます。
受給する上で様々な条件がありますが、さほど厳しくなく、ほとんどの方(※)が対象となります。
※ほとんどの方とは主に残される妻、子の場合です。夫に対しては違った条件があり、対象にならないケースもありますので、後ほど詳しく説明します。
遺族基礎年金の受給条件
原則として、国民年金の加入期間が25年以上あり、加入期間において2/3以上の保険料を納めていることが条件です。
これだけだと少々厳しい条件に思えます。
しかし、これでは遺族基礎年金を受給できる人が少なくなってしまうため、救済措置として死亡日の前々月までの1年間において保険料の滞納がなければ支給されることになっています。
また、受給者の年収が850万円以上(所得655.5万円以上)である場合は支給対象外となります。
共働き家庭で夫が死亡した時に妻の年収が850万円以上であれば、生活に困窮することはないとされ遺族基礎年金が支給されません。
しかし、年収850万円を超えても以下の場合は支給対象となる場合があります。
①所得が655.5万円未満(様々な控除を含めると年収850万円以上でも、所得は655.5万円未満になることが結構あります)
②5年以内に定年などで年収が850万円未満になることが分かっている場合
可能性がある方は年金事務所に問い合わせてみましょう。
遺族厚生年金の受給条件
遺族基礎年金と同様、厚生年金の加入期間が25年以上なければ支給対象外となります。
しかし、遺族基礎年金と同様に緩和条件があり、初診日から5年以内に死亡し、かつ保険料を2/3以上納めていれば支給されることになっています。
遺族基礎年金と同様に受給者の年収が850万円以上であれば、支給対象外となります。
しかし、所得が655.5万円未満、もしくは5年以内に年収850万円未満となるのであれば、遺族基礎年金と同様に支給対象となります。
ちなみに850万円の年収条件は遺族年金を貰い始めた時点で適用されます。
ですので、その後に年収が上がって850万円以上になったとしても遺族年金の支給がストップすることはありません。
誰が遺族年金を貰えるのか?
一番の疑問はこれに尽きると思います。
上記で説明した条件をクリアすれば、下表の人たちが遺族年金を受給することができます。
遺族基礎年金は 18歳未満の子どもがいるかどうかで支給の可否が決定されます。
基本的に子どもが一人前になるまでの補助という位置づけです。
一方、遺族厚生年金は妻であれば終身で支給されます。
遺族厚生年金の受給者の大半は女性ですので大変有難い制度です。
ただし、夫が死亡時に30歳未満でかつ子どもがいない場合は5年間の有期となります。
遺族厚生年金は妻に厚いが夫に薄い
妻は終身で受給できる遺族厚生年金ですが、夫は55歳以上という制限があることに気が付きましたでしょうか?
共働き家庭、専業主夫であっても、夫が55歳になる前に妻を亡くすと遺族厚生年金は貰えないのです。
しかも、条件を満たすのが55歳以上であり、実際の支給開始は60歳からです。
「家計を支えるのは夫であり、夫が存命であれば補助は不要」と言っているようなものです。
国は女性の社会進出を推し進め、社会において重要なポストを女性が担うケースも増えてきました。
男女差別という言葉はほとんど死語ですが、このようなひどい男女差別がまだ残っているのです。
万が一に備えた保険も検討しましょう
配偶者が先立ち、遺族年金が支給されるとしても、それだけでは安定した生活を送ることはできません。
生命保険への加入なども検討した方がよいでしょう。
夫が家計を支えている家庭であれば、遺族年金で貰える収入だけでは足りない分を収入保障保険などで補うとよいでしょう。
逆に妻が家計を支えている場合、夫は遺族厚生年金を受給できませんので、少し手厚い収入保障保険を考える必要があります。
具体的な資産はFPに相談してみるとよいでしょう。
配偶者が先立った後のことを考えるのは気乗りしないものです。
しかし、家族のライフプランを作る上では様々な可能性を考え準備しておくことが重要です。