4・5・6月の残業代や手当で収入が増えると損?社会保険料の仕組みについて。
サラリーマンであれば毎月給与明細を貰います。
額面からは所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料など多額の税金と社会保険料が引かれます。
このうち、健康保険料と厚生年金保険料がいわゆる社会保険料に該当します。
そして、この社会保険料は4・5・6月の給与をもとに算出されていることはご存知でしょうか?
- 4・5・6月の給与で1年間の社会保険料が決まる
- 4・5・6月に残業代や手当が増えるとどれくらい社会保険料が上がるの?
- 社会保険料の算定には交通費や各種手当も含まれる
- 社会保険料を多く払うことのメリット
4・5・6月の給与で1年間の社会保険料が決まる
社会保険料は4・5・6月の給与の平均額をもとに「標準報酬月額」を決めて算出します。
この標準報酬月額に応じて、厚生年金であれば31等級、健康保険であれば50等級までの区分があり、等級に応じて社会保険料が決定されます。
そして、この標準報酬には基本給、残業代、各種手当など労務の対価として受け取るもの一切が含まれます。
社会保険料の等級が決まれば、その後9月から翌年8月まで1年間その等級が利用されます。
つまり、4・5・6月の給与が多ければそれだけ社会保険料も高くなるという仕組みです。
4・5・6月に残業代や手当が増えるとどれくらい社会保険料が上がるの?
月額の給与が30万円の人が4・5・6月に月3万円分の残業代を貰うケースを考えてみましょう。
厚生年金は一般の被保険者で18.182%です。
これを労使折半しますので、実質の負担は9.091%です。
健康保険料は加入している健康保険によって異なりますが、分かりやすく10%としましょう。
これも労使折半で実質の負担は5.0%です。
これらを前提にして計算すると以下のようになります。
<4・5・6月の給与が30万円であった場合>
厚生年金保険料:27,273円
健康保険料:15,000円
社会保険料合計:42,273円
<月3万円の残業代を含めて4・5・6月の給与が33万円であった場合>
厚生年金保険料:30,909円
健康保険料:17,000円
社会保険料合計:47,909円
4・5・6月に月3万円の残業代がある場合、月々の社会保険料が約5,600円増加します。
年間で約67,600円の増加です。
もし、この残業代が7・8・9月の給与であった場合、保険料には何の影響もなかったことになります。
4・5・6月に支給される残業代には注意が必要です。
社会保険料の算定には交通費や各種手当も含まれる
すでに述べましたが、社会保険料の算定基準となる標準報酬は「労務の対価として受け取るもの」すべてが含まれます。
つまり、通勤手当や家族手当などもすべて含まれます。
遠方からの通勤で通勤手当が多い方、家族が多く家族手当を多く貰っている方などは他の方と比較して社会保険料が高くなります。
極端な例をご紹介します。
- 基本給が月額20万円、交通費が月額10万円の人
- 基本給が月額30万円、交通費は0円の人
この二人の標準報酬月額は同じ30万円と見なされ、社会保険料は同額になります。
しかし、交通費10万円をもらっている人が明らかに損なのはお分かりかと思います。
これは、勤務地までの距離や通勤方法によって社会保険料が変わるということを意味しています。
不公平な話かもしれませんが、これが社会保険料算定のルールです。
社会保険料を多く払うことのメリット
4・5・6月の残業代や手当によって標準報酬の等級が上がり、社会保険料の負担が大きくなることを理解頂けたかと思います。
しかし、悪いことばかりではなくメリットもあります。
社会保険料を多く納めるわけですから、将来の年金や万が一のときの保証メリットがあります。
長い目で見れば決して損ということではありません。
これからの3・4・5月は年度末、年度初めという事で忙しいサラリーマンも多いと思います。
給与は月末締めの翌月払いという会社が多いと思いますので、あまりに残業をし過ぎると 4・5・6月の給与が増えて社会保険料に反映されてしまいます。
早く帰ることをおすすめします。